アイドルと音楽の備忘録

アイドル/アニメ/声優ソングを楽理の視点で分析しています。

ヒットする曲にはちゃんと理由がある

サイレントマジョリティーで使われている"サビを印象づけるための工夫"にいくつか気づいたので書いておく。

 

サイレントマジョリティー / 欅坂46

 

 

1.Aメロとサビの最初が同じ音

どちらもAbの音から始まっている。しかしAメロとサビは調が異なり、AメロはBmajでサビはAbmaj。Abの音はBmajだと6thでAbmajだと1stの音なので、Aメロではマイナー、サビではメジャーの響きとなり同じ音でも明暗を対比させることができる。

 

2.サビでメロディーの音型が変わる

AメロBメロでは332の音型が多用されているがサビではまったく使われていない。AメロBメロとは異なる音型を使うことでメロディーにメリハリが付いている。

 

メリハリのあるメロディーに関しては白戸佑輔さんのこちらの記事をどうぞ。

作曲のこと|作曲家のなんとなくなつぶやき

 

3.サビでコードの展開スピードが倍になる

イントロからBメロまでは1小節に1コードずつ進んできているが、サビになると1小節に2コードずつ進むようになる。コード進行の展開スピードが倍になることでサビで疾走感を演出している。

Ⅰ→Ⅱ/Ⅰ→Ⅳm/Ⅰ→Ⅰ進行

ルートをⅠで固定する進行。ベースペダルポイントってやつ。

Aメロで使われることが多い。

 

環状六号線 / 乃木坂46

※0:03~

Ⅰ→Ⅱ/Ⅰ→Ⅳm/Ⅰ→Ⅰ・Ⅴ/Ⅶ

 

灼熱スイッチ / 雀が原中学卓球部

※0:00~

Ⅰ→Ⅰ→Ⅱ/Ⅰ→Ⅱ/Ⅰ

Ⅳm/Ⅰ→Ⅳm/Ⅰ→Ⅰ→Ⅰ

 

MOMENT RING / μ's

※0:34~

Ⅰ→Ⅱ/Ⅰ→Ⅳm/Ⅰ→Ⅰ・Ⅴ/Ⅶ

(筋トレみたいに)

やっぱ良い曲だな。

 

7 Senses / Wake Up, Girls!

 

コード譜

 

特徴はやはり食いまくっているメロディー。BPMも早いのでとても疾走感がある。

落ちサビ(3:31~)からの怒涛の繰り返し(16小節x5)がすごい。時間で見ると曲全体の1/3以上を占めている。ただ繰り返すだけだと単調になってしまうのでルートを変えたりEDで新しいメロディーを持ってきたりと飽きないように工夫されている。

ちょっと珍しい69コード

9thの華やかさと6thの切なさを併せ持つ和音。

 

八月のif / Poppin'Party

※1:08~ key of Amaj

サビの最初のコードがⅣ69。メロディーが2nd(b)、ピアノが5th(e)を弾いている。コードがD(Ⅳ)なのでbが6度、eが9度の音となる。

 

少女以上の恋がしたい / Aqours

※2:54~ key of Bbmaj

こっちもサビの最初のコードがⅣ69。メロディーが2nd(c)、ストリングスが5th(f)を弾いている。コードがEb(Ⅳ)なのでcが6度、fが9度の音となる。

この曲のようにコード進行が4536の時にストリングス等でずっと5thの音を鳴らすのはよくある。